自転車で難聴になる?

自転車走行中に耳元で聞こえる風切り音、うるさいですよね。後ろから近づいてくる車の音が聞こえにくく、ヒヤッとした経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。しかし、危険な思いをするだけでなく、難聴という健康上の問題にもつながる可能性が指摘されていることをご存知でしょうか? ここでは、自転車の風切り音と難聴の関係とTKテッククラフトの取り組みについて紹介したいと思います。

1.米国立研究機関(NIDCD)の記事

2.耳鼻科医の論文(2017年7月)

3.TKテッククラフトの取り組み

1.米国立研究機関(NIDCD)の記事
アメリカの国立の研究機関であるNIDCD(National Institute on Deafness and Other Communication Disorders)が公開しているこちらの記事です。
‘Wind Noise Can Contribute to Noise-Induced Hearing Loss in Cyclists’ 「風切り音がサイクリストの騒音性難聴の一因となりうる」
https://www.noisyplanet.nidcd.nih.gov/have-you-heard/wind-noise-can-contribute-to-noise-Induced-hearing-loss-in-cyclists

NIDCDは日本語での正式な日本語の名称が定まっていないようですが、直訳すると”米国立難聴その他コミュニケーション障害研究所”といったところでしょうか。
この記事よると、時速24km/hでの自転車走行時、風切り音が85dB(※)となるそうです。85dBという騒音は、騒音性難聴( 大きな音を聞くことによって発生する難聴 )になりうる音の大きさなのです。つまり、自転車に長時間乗ると、風切り音で難聴になるかもしれないと指摘しているのです。
※ dB:音の大きさの単位。デシベルと読む

(NIDCDのサイトの日本語訳はこちら)
風切り音がサイクリストの騒音性難聴の一因となりうる (日本語訳版)
( Wind Noise Can Contribute to Noise-Induced Hearing Loss in Cyclist )


2.耳鼻科医の論文
NIDCDの上記の記事は、アメリカの耳鼻科医チームによる研究成果を元に書かれているのですが、そのチームの最新の論文(2017年7月)では、さらに低いスピードでも85dBもの騒音になるというデータが発表されています。

サイクリストにおける風切り音暴露に関する評価 第2報
(Evaluation of Noise Exposure Secondary to Wind Noise in Cyclists)

Michael D. Seidman MD他
Otolaryngology-Head and Neck Surgery, 2017, Vol.157(5), 848-852
https://doi.org/10.1177/0194599817715250 

この論文では、16km/hですでに85dBの風切り音が発生し、スピードを上げると風切り音も増加していくとされています。16km/hというスピードは、少し頑張って自転車をこげば、いわゆるママチャリでも出せてしまうスピードです。ロードレーサーやマウンテンバイクなど競技用の自転車に乗っている人は、さらに大きな騒音にさらされている可能性が高いのです。

論文の内容を紹介した海外の自転車情報サイトがあります。興味がある方は、そちらも参照ください。実験時の写真等も掲載されています。(英語です)
CyclingTips “Listen up: Why Cyclists are at risk of hearing loss” by Matt de Neef
https://cyclingtips.com/2017/08/listen-cyclists-risk-hearing-loss/

3.TKテッククラフトの取り組み
世界を見渡すと、自転車乗車中の風切り音対策の製品が複数社から販売されています。しかし、騒音低減効果が少なかったり、汗をかいたときに不快だったりするため、TKテッククラフトでは、それらを克服した製品を目指して開発をしております。周囲の音が聞こえにくくなることなく風切り音だけを低減することができる製品です。詳細は製品情報のページを参照ください。

なお、TKテッククラフトでは、Seidman氏の測定を簡易的に追実験しました。TKテッククラフトでの結果は、Seidman氏の結果ほどは悲観的な値ではなく、20km/hで80dBA程度でした。ただ、ヘルメットのかぶり方や頭の形、髪形でも大きく差が出そうだということを実験中に感じました。Seidman氏の実験も、当社の実験も、被験者は一人なので、自転車と難聴の関係を一般的に示すには、より大規模な調査が必要と思われます。